【尺八の歴史を簡単に】起源、由来、流派の違いについて

尺八の入門として、吹き方、持ち方、管理や手入れなど以外にも、いろいろな基礎知識を知りたい人もいると思います。

「そもそも尺八の起源っていつ?」とか「尺八の歴史ってどんな内容?」「流派の違い簡単に言うと?」ということも気になりますよね。

そこで今回は、尺八にまつわるちょっとした専門知識として、演奏以外での基本的なことについて書き進めていきますね。

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尺八の歴史「起源、ルーツは?」

まずはじめに「尺八の歴史」について。

尺八という名前の和楽器の起源は、中国の唐の時代がルーツだと言われています。

歴史的には、唐の時代に、船で海を越えて、中国大陸から日本に渡ってきた、ということみたいです。

「みたいです」ということからわかるように、はっきりとしたことは、実はそこまで詳しくはわかっていないそうです。

というのも、現在の中国では「尺八」という名前の楽器が残っておらず、現在の日本にだけ残っているからです。

尺八に似ている海外の楽器

ですが、尺八とよく似た仕組み、構造の楽器は、世界各地にあります。

尺八とよく似た構造である「ノンリード」の縦笛は、インディアンフルートや、ケーナ、ネイ、ティンホイッスル、洞簫(どうしょう)、リコーダーなど、海外の国にもいろいろな楽器があります。

インディアンフルート

洞簫(どうしょう)

ティンホイッスル

歴史的なもので一番古いのは、ドイツの約3万年前の洞窟遺跡から発掘された「骨から作られたノンリードの縦笛」といわれています。

それが「尺八」の起源、ということではありませんが、人類はかなり古い時代から、尺八のような構造の「笛」を吹いていた、ということになります。

日本での「尺八の歴史」について

次に、日本での尺八の歴史について。

尺八は、江戸時代、お経を唱えるのと同じような意味があった、という歴史的背景があります。

禅宗のひとつ「普化宗(ふけしゅう)」という宗派で、尺八は「法器(ほうき)」として使われていました。

普化宗のお坊さんのことを「虚無僧(こむそう)」といいました。

江戸時代の時代劇などで見たことがあると思いますが、頭から「天蓋(てんがい)」というカゴをかぶって、尺八を吹くことが「禅」の修行だったわけです。

「禅」というと、座ってする座禅をイメージする人も多いと思いますが、普化宗では、尺八を吹く「吹禅(すいぜん)」でした。

尺八の名前の由来

「尺八」は、長さが一尺八寸、約54.5cmの楽器です。

「一尺八寸」の真ん中の2文字をとって「尺八」と呼ばれるようになったのが、尺八の名前の由来ですね。

尺八は、歌口と呼ばれる息を吹きかける部分に、息を吹きかけて音を出す、という、極めて単純な構造の楽器ですね。

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穴が5つ(表に4つ、裏に1つ)空いていて、練習して訓練すると、歌のように表現力豊かな音色や響きで演奏できる和楽器で、現在では日本だけでなく、海外の人にも人気があります。

明治時代からの楽器としての「尺八」

尺八は、江戸時代では、神様のための楽器=「法器」と呼ばれていたので、今のように楽器と呼ぶのはNGでした。

それに、尺八は神様のための楽器だったので、一般の人は触ることができなかったそうです。

といっても、実際には、虚無僧が尺八教室みたいなものを開いた、こともあったそうです。

明治時代になってからは、普化宗は廃止(廃宗)されて、尺八は法器から楽器となり、虚無僧じゃない一般の人でも自由に吹けるようになりました。

その時代と前後して、尺八では、琴古流や都山流などの流派が生まれ、三曲、民謡、詩吟などの他の音楽とも、積極的に合奏するようになったのです。

尺八の歴史は浅い?深い?

ですので、尺八が楽器になってからは、歴史的にはまだ150〜160年くらいです。

西洋音楽の楽器、ピアノは300年、サックスでも150年以上の歴史があるので、尺八は歴史的には新しい楽器に分類されることになりますね。

楽器としての尺八が、音程、音階、音量など、竹の中に漆を塗るといった改良や工夫がされてきたのも明治時代になってからなので、まだまだこれから発展&発達していく可能性がある和楽器と言えます。

尺八は「法器」としての歴史は長いかもしれませんが、楽器としてはまだまだ短いので、自由度も高く、特定の分野に縛られることもなく、もっと普及していって欲しいですね!

尺八の流派の違いを簡単に

尺八にはいくつかの流派がありますが、その中でも、都山流(とざんりゅう)と琴古流(きんこりゅう)が2大流派といわれています。

流派の違うと、同じ尺八という楽器であっても様々な違いがありますが、中でも大きな違いは「楽譜の違い」です。

尺八の楽譜はカタカナで表記されているのですが、都山流は「ロツレチハ」と表しますが、琴古流では「ロツレチリ」と表す点に違いがみられます。

また、都山流は楽譜の表記において、西洋音楽の楽譜スタイルの「小節」を取り入れた楽譜になっていますが、琴古流は古典的な楽譜スタイルなので小節がありません。

また、流派によって運指や装飾音などのテクニックも違いますし、それぞれの流派で伝えられている曲にも違いがあります。

同じ曲であっても、流派によってアレンジが変わってくることもあります。

尺八でどんな曲が演奏できる?

尺八でどんな曲が演奏できるのか、という疑問を持つ人もいると思うので、簡単に紹介しておきます。

「三曲」
江戸時代から伝わる音楽で、三味線・箏・尺八で合奏する形態の事。

「古典(三曲)」
江戸時代の三曲のこと。尺八パートは明治時代以降に付け加えられました。

「新曲(三曲)」
明治時代以降から太平洋戦争前までの間に作曲された三曲用の曲のこと。お正月の定番曲「春の海(宮城道雄作曲)」などは新曲に分類されます。

「現代曲(三曲)」
戦後以降に作曲された三曲のこと。

「本曲」
尺八本来の曲という意味で、それぞれの流派ごとに、江戸時代の虚無僧の要素を取り入れた曲や技法が伝わっています。

「民謡」
基本的には、尺八で民謡の歌のメロディーラインを追いかけて演奏する。

「詩吟」
箏と尺八で一緒に伴奏する。即興で吹くのが特徴的。

「その他」
今では、オーケストラや吹奏楽と共演する尺八奏者の人も増えてきています。

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