尺八の修理「ひび割れ、歌口が欠けた、中継ぎのゆるみ」

尺八は「竹」という自然素材を使って製作されているため、表面にひびがはいったり、割れたりするケースも少なくありません。

息を吹き込む歌口部分は「欠けた」トラブルもちょくちょく生じます。

また、使用頻度によりますが、徐々に中継ぎ部分がゆるくなってしまう尺八もあります。

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尺八のいろいろなトラブルに関しては、ほとんどの場合、修理できるので、早めに修理工房や製管師さんにお願いするようにしましょう。

尺八の割れやひびの修理について

尺八のひび割れの修理では、まずは濡れタオルを割れた部分に巻いておき、竹を膨張させて割れ目がいったんふさがった状態にしてから修理を行います。

修理の最終工程では、籐を巻いて、割れ目が開かないようにしっかりと締めます。

小さなひび割れの場合であれば、1〜2ヶ所巻くだけで修理できますが、大きな割れの場合は5〜6ヶ所巻くケースもあります。

籐を巻いて尺八のひび割れを修理する際には、通常次のような手順でおこなわれます。

ひび割れの修理方法手順

①修理の場所と幅を決めて、竹に切り込みを入れる
②専用の道具で溝を掘る
③やすりで溝の底をなめらかにする
④締め糸を強く巻く
⑤籐を巻く余裕を残して、漆と砥粉を混ぜた「地」を入れて平らにする
⑥地が乾いたら籐を巻く

アロンアルファなど瞬間接着剤は使わないこと

尺八の竹が割れたり、ひびが入ってしまったとき、「とりあえずの応急処置」として、アロンアルファなどの瞬間接着剤で修理する人がいるのですが、これはやめておきましょう。

というのも、製管師さんに修理を依頼したときに、修理する前にその接着剤を取り除くという手間が増えてしまい、それがなかなかやっかいな手間とのことです。

尺八が割れたり、表面にひびが入ったときは、早めに購入した販売店やや専門家に頼んで、きちんとした修理をしてもらいましょう。

尺八は高価な和楽器ですから、大切に扱うようにしたいですね。

尺八の中継ぎがゆるくなった?

長年使用している尺八の中には「中継ぎがゆるくなってきた」と、中継ぎの接合部分がゆるくなってくるケースもあります。

中継ぎの接合部がゆるくなってくると、上管と下管のフィット感が悪くなってくるので、中継ぎの修理が必要になってきます。

中継ぎの修理は、尺八を購入した販売店や、製管師さんに修理依頼するようにしましょう。

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中には、中継ぎ部分にラップやセロテープ、ビニールテープを巻いて、ゆるみ対策をする人もいるそうですが、尺八は大切に手入れをすれば何十年も使うことができる貴重な和楽器です。

日頃の手入れも大切ですが、ときには専門家にメンテナンスや修理を頼む必要もあります。

尺八の中継ぎ部分の修理について

尺八の中継ぎのゆるみの修理方法では、接合部分に漆を塗って対応します。

漆と言ってもいろいろな種類がありますが、中継ぎ部分には「呂色漆(ろいろうるし)」という、黒くてツヤのない漆を使うのが通常です。

呂色漆は、乾くととても硬くなるので、尺八の中継ぎの接合部分に適した性質があります。

中継ぎが少しゆるんでいる程度なら、呂色漆を数回塗る重ねるだけでゆるみが直ります。

ゆるみがひどい重度の場合には、先に瀬〆漆(せじめうるし)という漆に研粉と水を混ぜたものを塗り、中継ぎの接合部分の密着度を高めてから、そのあとに呂色漆を塗って修理します。

漆を乾燥させるにはある程度の湿気が必要なので、風にさらすよりも、発泡スチロールなどの箱の中に入れておきた方が、漆が乾きやすいそうです。

漆が乾くまでの期間は、湿度の高い夏の季節なら1〜2日、冬など乾燥する季節なら1週間〜10日くらいの日数が必要です。

中継ぎの修理費用については、工房や製管師によって料金は様々ですが、軽度のゆるみであれば4,000円〜5,000円程度、重度のゆるみの場合は7,000円〜8,000円程度が修理費用の目安みたいです。

尺八の歌口が欠けた場合、修理できる?

尺八の主なトラブルといえば、「割れ」や「欠け」のケースが多いようです。

ただ、ほとんどの場合、その尺八は修理可能と考えてよいでしょう。

特に、歌口部分に関しては、先端がとても薄く作られているので、ちょっとぶつけた程度の衝撃で歌口が欠けてしまうことがあります。

歌口が欠けた場合の修理は、歌口部分を交換して修復します。

古い尺八の場合、歌口の接着剤が強くないので、比較的簡単に歌口を取り外せるみたいですが、最近の尺八は強力な接着剤が使われていることが多いので、まず先に欠けてしまった歌口を砕いて取り除き、そこに新しい歌口をはめこむ、という修理方法が通常です。

歌口の修理費用、料金は?

歌口の修理費用については、歌口の素材によって値段が変わってきます。

最近では、アクリル樹脂素材の歌口に人気が高い傾向があります。

ただし、アクリル樹脂の歌口は硬い反面、意外ともろく欠けやすい特徴があります。

象牙や水牛の角の歌口は、虫食いで欠けてしまうケースもあります。

修理費の目安としては、水牛の角や象牙の歌口だと10,000円前後が多いみたいですね。

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