尺八の基本知識①「名称、素材、材質、7節の理由」

尺八は、一本の竹からつくられる日本の伝統和楽器で、その奥深い音色は、日本だけでなく、海外でもとても人気が高い和楽器のひとつですね。

竹に穴(孔)を開けただけの簡単な構造の楽器ですが、とても奥深い部分もあります。

そこで今回は、尺八の基本的な知識について、ポイントをまとめてみたいと思います。

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尺八の各部の名称

尺八は表に4つ、裏に1つの、合計5孔(穴)から成る、大変シンプルな和楽器です。

表の孔を上から順に「四孔」「三孔」「二孔」「一孔」といい、裏の孔を「五孔」または「裏孔」と呼びます。

息を吹きかける上部を「歌口(唄口)」といい「うたくち」と呼びます。

リコーダーのように息を吹けばすぐに音が鳴るものではなく、尺八は音を出すのにもちょっとコツがいる楽器で、楽器の種類としては「エアリード」の一種になります。

同じエアリードの和楽器には「篠笛」や「龍笛」などがあり、西洋楽器だと「フルート」なども、大きく分類すると同じエアリードの楽器です。

今では「中継ぎ(なかつぎ)」と呼ばれる真ん中の部分で上下に分かれるタイプの尺八も多く、それぞれ上管(じょうかん)、下管(げかん)と言います。

尺八の一番下の部分は「菅尻(かんじり)」と言います。

尺八の素材と材質

尺八は、天然の真竹の、根元に近い部分を素材として作られます。

通常は、根元から節7つ分のところまでを使って尺八が作られます。

細かい製作方法はまた別の記事で詳しく書きますが、大まかには、竹の内側の節を取り除き、息を吹く「歌口」の部分を削り、指孔を表に4つ、裏に1つ開ければ、尺八の完成です。

ただ竹をくり抜いただけの「地無し」の尺八ですね。

歌口の素材について

尺八の歌口の部分の素材については、様々な材質が使われています。

歌口は、息を吹き込む部分なので、尺八の音を生み出す重要な部分になります。

竹のままで何の加工もしなければ、耐久性にも問題があり、それなりの硬度と音を生み出す素材としての適性を兼ね備えた材料が、歌口部分にはめ込まれています。

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古い昔の時代から使われている代表的な素材としては、象牙や水牛の角などが歌口部分に使用されていました。

現在では、アクリル樹脂を使って歌口部分を製作する方法も人気があるようです。

なぜ、尺八は「7節」なのか?理由は何?

尺八の大きな特徴として、見た目そのままに「竹の節が残されている」点があげられます。

この竹の節の数は、基本的には「7節」と決まっています。

尺八の歴史について、奈良時代に中国の唐から伝わった楽器といわれており、正倉院にも8本の尺八が残っています。

ただ、この尺八が竹製だけではなく、石製や牙製の尺八もありますが、竹の節の形がついていることから、本来、尺八は竹を素材に製作する楽器というイメージが当時からあったことがわかります。

しかし、正倉院に残っている尺八の節の数は3つで、現在の節7つの尺八とは違います。

「尺八の節は7つ」となったのは、江戸時代以降と言われていますが、はっきりとした理由や経緯についてはまだよくわかっていません。

竹の節は、根元に近い部分では節の間隔が狭く、根元から3〜4節くらいまでは土の中に埋まっている状態なのがほとんどです。

その上の部分から竹を切り取って、尺八にちょうど良い長さを確保すると3節くらいになります。

この製作方法であれば、欲しい長さの尺八が、比較的簡単に手に入れることができます。

ですが、江戸時代初期に、土の中に埋もれた竹の根元の節から切る取ることが始まります。

最下部の節から取って、7節目に歌口をつけるとちょうど良い長さになる、かつ太さも程よい竹を選んで切る、ということです。

とはいっても、そんなに都合の良い竹はそこまで数も多いわけではなく、竹の根元には硬い根が張り出しているので、処理も大変です。

なぜ、そのような効率の悪い7節にしたのでしょうか?

これは推測ですが、竹の根元の部分は「円錐状」に広がる形になっているため、尺八の音を大きくする効果があるのではないか、という理由が考えられます。

また、尺八の管尻の「形」がゴツゴツしている方が魅力的である、という理由も考えられます。

節くれ立っていて、趣のある尺八の外観は、自然と一体になるような尺八の音色ともマッチします。

このように「なぜ、尺八は7節なのか?」については、はっきりとした理由は解明されていませんが、案外「見た目」を大きな理由として、竹を根元から取って尺八を作るようになったのかもしれませんね。

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