日本の横笛の種類と特徴①「能管、龍笛、神楽笛の違いは?」
篠笛や龍笛、能管など、日本の横笛にはいくつか種類があります。
それぞの種類の横笛を作る際、その材料は同じであることが多く、素材は竹製です。基本的な構造と音が鳴る原理も同じです。
大きな違いは、穴の数、長さ、音程、音階などで、それぞれの横笛の使用分野、使われるシチュエーションに違いがあります。
日本の横笛の種類と特徴
日本の横笛には次のような種類があります。
スポンサーリンク
横笛の種類(指孔数・穴の数)
・龍笛(七孔)
・高麗笛(六孔)
・神楽笛(六孔)
・能管(七孔)
・篠笛(五〜七孔)
・みさと笛(七孔・裏孔)
・明笛、清笛(七孔・響孔・飾孔)
今回は、「龍笛」「高麗笛」「神楽笛」「能管」について、特徴、共通点、違いについてまとめてみたいと思います。
→篠笛(古典調/唄用/ドレミ調)みさと笛についてはこちらの記事で
【雅楽の横笛】龍笛・高麗笛・神楽笛の特徴
「雅楽(ががく)」では、次の3つの横笛が使われています。
・龍笛(りゅうてき)
・高麗笛(こまぶえ)
・神楽笛(かぐらぶえ)
これらの3つの横笛は、主に雅楽や神楽、民俗芸能などで使われています。基本的な構造は同じで、用途によって笛を使い分けています。
笛の管内は漆塗りで、表面は樺桜や藤などの樹皮の巻きで覆われていて、仕上げは煤漆(すすうるし)が塗られています。
笛の頭部には重心を調整するために鉛棒が詰められ、錦を貼った木片がはめ込まれています。表面には「蝉(せみ)」と呼ばれる装飾が施されいる、豪華な横笛になります。
スポンサーリンク
①龍笛(りゅうてき)
龍笛は七孔の横笛で、笛の長さは約40cm。主に雅楽の唐楽吹かれています。篳篥(ひちりき)とともに主旋律を演奏します。龍笛は「横笛(おうてきorよこぶえ)」と呼ばれることもあり、日本全国各地の伝統民俗芸能などでも使われています。
②高麗笛(こまぶえ)
高麗笛は六孔の横笛で、笛の長さは約37cm。孔(穴)の数が龍笛よりもひとつ少ない横笛です。主に雅楽の高麗楽で使われています。高麗笛は「狛笛(こまぶえ)」という漢字で表されることもあります。
③神楽笛(かぐらぶえ)
神楽笛は六孔の横笛で、笛の長さ約45cm。その名の通り、雅楽の御神楽で使われています。日本固有の横笛という意味で「やまとぶえ」と呼ばれることもあり、龍笛・高麗笛・神楽笛の3つの中で最も高貴な笛と位置付けられています。
【能楽の横笛】能管の特徴
能管は指穴が7つ、主に能楽で使われる横笛です。笛の全長は約39cm。
歌口と指穴の間に「喉(のど)」と呼ばれる竹管が入っていて、能管独特の不規則な音階や、「ヒシギ」と呼ばれる鋭く甲高い音色が出る構造になっています。
歌舞伎囃子、江戸祭囃子、祇園祭など、各地の民俗芸能でも使われている横笛です。
能管と龍笛の違いは?
「能管(のうかん)」は、「龍笛」を改造したつくりになっていて、この2つは大変よく似ています。
能管と龍笛の大きな違いは2つ、①頭部に金属製のの頭金がはめられている、②指穴に朱漆(赤色)が塗られている、という点で見分けることが可能です。
スポンサーリンク