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[境界性人格障害]アルコール依存やオーバードーズをする人も

境界性パーソナリティ障害の人は、リストカットなどの自傷行為で自分に肉体を傷つける自己破壊的行為がみられるケースも多くあります。

また、アルコール依存やオーバードーズ(大量服薬)をする例も少なくなく、広い意味での自己破壊的行為といえます。

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アルコール依存性になりやすい境界性人格障害

境界性パーソナリティ障害/境界性人格障害の人の中には、アルコール依存症になったり、オーバードーズ(過量服薬)になる人も少なくありません。

心理的ストレスが原因となり、一時的であっても精神的に辛い状態から逃れるために依存や乱用をするのですが、苦痛から解放されるように感じるのはほんのひとときでしかありません。

むしろ、アルコール依存やオーバードーズは境界性パーソナリティ障害の回復を妨げてしまうので注意が必要です。

依存や乱用に使われる物

・アルコール(お酒)
・処方薬
・市販薬(睡眠薬や風邪薬など)
・シンナーやトルエンなどの有機溶剤
・大麻(マリファナ)
・覚せい剤
・違法ドラッグ(危険ドラッグなど)

意識不明や命の危険もあるアルコール依存ややく薬物乱用

アルコール依存やオーバードーズ(薬物乱用)は、親や家族などまわりの人を巻き込んでしまい、問題が大きくなってしまいます。

場合によっては、アルコール依存から衝動的に自傷行為をしてしまい、意識不明になるほどの危険な状態になる例もあります。

また、睡眠薬など薬物を大量に服用した場合は、すぐに医療機関で適切な検査を受けなければ、生命に危険があることもあるので注意が必要です。

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アルコール依存・オーバードーズの問題点

【アルコール依存の問題点】
・いつもアルコールを欲して、アルコールを飲むことが生活の中心になってしまう
・普通の生活ができなくなる
・人間関係が壊れる
・健康を損ない病気になりやすい
・経済的にも大きなダメージがある
・治療に時間と費用がかかる
・境界性パーソナリティの回復が阻害される

【オーバードーズの問題点】
・自傷行為など衝動的に行動しやすくなる
・生活のリズムが乱れる
・本当の問題が先送りになってしまう
・境界性パーソナリティ障害の回復の妨げとなる

オーバードーズ(過量服薬)の症例

境界性パーソナリティ障害、20歳代の男性Aさんの症例。

Aさんは人間関係にトラブルが多く、高校も中退し、その後は家に引きこもり状態が続いていました。

次第に大麻や覚せい剤に手を出すようになり、両親にも暴力をふるうことや放火未遂事件を起こしてしまったことも。

「もう死にたい」とAさんが言うようになり、両親は必死に本人を説得して精神科を受診しましが、次は病院で処方された薬のオーバードーズ(過量服薬)を繰り返すようになりました。

救急車で病院に運ばれたAさんはそのまま入院治療をすることになりましたが、両親に対して「お前らのせいだ!殺してくれ!」と騒ぎ、両親を責めためました。

Aさんは境界性パーソナリティ障害以外にうつ病が併発していて、それが原因となって自己破壊的な行為や自暴自棄な傾向が強くなっていたようです。

うつ治療も開始して徐々に改善されてくると、精神状態も安定するようになり、病院を退院して通院治療へと移行しました。

その後、通院しながらアルバイトを始めたのですが、しばらくしてAさんはアルバイト先でトラブルを起こしたことをきっかけに、オーバードーズをしてしまい、また入院治療を始めることになりました。

再入院後の治療では、Aさんのオーバードーズの心理や動機を聞き出し、自分自身の課題を自覚し向き合えるようになってきています。

◆この記事は、日本の医学者、精神科医。帝京大学医学部教授の林直樹先生執筆・監修「よくわかる境界性パーソナリティ障害(主婦の友社)」の内容を元に、心理カウンセラーが記事編集をしています。

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