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原因は親のせい?生まれつき?境界性パーソナリティ障害の発症

「境界性パーソナリティ障害を発症した原因は親の子育てのせいだ!」とか「生まれつきの病気だ」など、境界性パーソナリティ障害の発症原因についていろいろ言われています。

では、実際のところ、何が原因となって境界性パーソナリティ障害になるのでしょうか。

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原因はひとつではない|境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害の発症原因について、様々な研究がされていていくつかの説があります。

ですが、まだはっきりとした発症原因は定まっておらず、境界性パーソナリティ障害の発症原因は様々な要因が重なりあっているのではないか、と考えられています。

大きく分けると3つの要因があり、生物学的要因、養育環境、社会・文化的環境が考えられます。

それぞれの要因についてもう少し詳しくみてみましょう。

セロトニン機能の低下など生物学的要因

境界性パーソナリティ障害の激しい感情や衝動的行動は、脳の働きなどの生物学的要因が関係しているといわれています。

なかでも衝動性を抑えるはたらきを持つ脳内物質セロトニンの低下などの説も有力です。

親の子育てや虐待など養育環境

境界性パーソナリティ障害の発症原因というほどではなく、関連があるとされているのが養育環境です。

親からの愛情の受け方や子育て、過保護や放任、親の離婚や死別など、親の関わり方が子供のパーソナリティ形成に影響があり、境界性パーソナリティ障害発症にも関係しているのではないか、といわれています。

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境界性パーソナリティ障害の人の中には、子供の頃に虐待(性的虐待も)やネグレクト(育児放棄)を受けたことがある人がいることもわかっています。

そのため、虐待が病気の原因になるのではないか?と言われることもあります。

虐待と境界性パーソナリティ障害の発症は無関係とは言えなさそうですが、虐待を受けた人が高い確率で境界性パーソナリティ障害になるわけではありません。

子供の頃に親から虐待を受けたことがある人でも、その体験を乗り越えて、社会人として幸せな生活をしている人もたくさんいます。

発展途上国よりも先進国に多い境界性パーソナリティ障害

境界性パーソナリティ障害の患者数は、発展途上国よりも先進国に多くみられ、また地方よりも都会の方が多いことから、社会的要因・文化的要因も関連していると考えらえています。

伝統的な生活スタイルや価値観の変化、核家族化などの社会環境の変化、マスメディアの影響なども、境界性パーソナリティ障害の患者数の増加、病気の発症原因とも関係しているようです。

原因探し、犯人探しはしないこと

境界性パーソナリティ障害になると、つい病気の原因や誰の責任なのか、と犯人探しをするケースが多く見られます。

ですが、いろいろな原因が考えられるとしても「親が悪い」「親のせいだ」と犯人探しをしても意味がありません。

大切なことは、本人も家族など周りの人も、今のつらく苦しい状態を改善し、穏やかな生活を過ごせるように症状の改善、克服に取り組むことなのです。

◆この記事は、日本の医学者、精神科医。帝京大学医学部教授の林直樹先生執筆・監修「よくわかる境界性パーソナリティ障害(主婦の友社)」の内容を元に、心理カウンセラーが記事編集をしています。

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