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自己同一性障害の意味とは?症状や原因|境界性パーソナリティ障害

自己同一性障害は、境界性パーソナリティ障害の人に多くみられる「自分がどんな人間かわからない」という障害です。

今回は、自己同一性障害の意味・症状・原因、アイデンティティとの関係、解離性症状や症例などについて書いてみたいと思います。

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自己同一性障害の意味とは?英語、カタカナでアイデンティティ?

自己同一性障害とはどのような病気なのでしょうか。

そもそも「自己同一性」の意味は、英語では「Identity」のスペルでカタカナで「アイデンティティ」と同じ意味です。

自己同一性とは、自分が持つ感覚においても、他人や社会から見ても一貫性のある安定した自己の性質を意味します。

もっと簡単な言葉で言うと「私はどういう人間か」といったニュアンスになりますね。

私たち人間は、ひとりひとり「私はどの国に住む何人で、こんな家庭や地域で育ち、仕事はこんな内容」など、一貫した自己イメージを持っています。

子供の頃や若い年齢層では自己イメージがまだはっきりしていないのですがl、成長するにつれて確かなものへと形作られていきます。

境界性パーソナリティ障害の人は、自己同一性=アイデンティティを形作る作業がうまくできず、自己同一性障害が中心になっていると考えられています。

症状や原因は?|自己同一性障害

自分がどういう人間かわからない、という自己同一性障害の症状にはどのようなものがあるのでしょうか。

「自分のことがわからない」という感覚の影響で、判断や行動面において適切な判断や適切な行動をとることができないのが特徴的な症状です。

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自分の考えや価値観が定まっていないのでブレやすく、他人に対しても「善か悪か」「良いか悪いか」と極端な見方をしてしまう傾向があります。

さらに、自分と他人との心理的境界があいまいなため、自分の考え方と相手の考え方、感じ方や価値観が区別されず、他人に影響を受けやすく巻き込まれやすいのも特徴的です。

アイデンティティ=自己イメージが不安定なため、いつも不安な気持ちになりやすく、対人関係でもトラブルが増え、激しい感情に揺さぶられることで抑うつや精神的ストレスを感じやすいのです。

解離性症状があらわれる場合も|境界性パーソナリティ障害

強い心理的ストレスが原因となり、自分の考えや感情、意識が切り離される状態を「解離」といいます。

解離性症状には、解離性健忘(自分の行動の記憶がない、解離性とん走)、解離性同一性障害(自分の一部が、他の人から見てまるで別の人間に見えること)、離人性障害(自分が自分でないように感じる)などがあります。

境界性パーソナリティ障害の人の中には、強い不安や抑うつ感、怒りの感情におそわれたときに、こういった解離性症状がみられるケースもあります。

自己同一性障害の症例

年齢は20歳代後半の女性Aさんのケース。

母親への殴る蹴るなどDV(家庭内暴力)、家の物を壊す、壁を破るなどの破壊行為がエスカレートして、家族では手に負えなくなり、警察に保護されて病院へ入院することになりました。

医師の診察のときに、Aさんは「私はやってない、そんなこと覚えていない」と言い、暴れたりしたのは私ではなく別の私、と主張するのです。

Aさんは解離性症状(解離性同一性障害)を伴う境界性パーソナリティ障害と診断されました。

◆この記事は、日本の医学者、精神科医。帝京大学医学部教授の林直樹先生執筆・監修「よくわかる境界性パーソナリティ障害(主婦の友社)」の内容を元に、心理カウンセラーが記事編集をしています。

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