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誤解?パーソナリティ障害は人格の病気ではない/種類と分類

境界性パーソナリティ障害や自己愛性パーソナリティ障害などのパーソナリティ障害は、治らない病気と誤解している人がまだまだ多いのが日本の現状です。

パーソナリティ障害はかつて「人格障害」と呼ばれていたこともあり、この病名によって誤解が生まれてしまったとも考えられます。

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まだまだ誤解の多いパーソナリティ障害について、言葉の意味や特徴についてまとめてみたいと思います。

パーソナリティ障害に多い誤解とは?

パーソナリティ障害のなかでも有名なのが「境界性パーソナリティ障害」です。

パーソナリティ障害は、以前は日本では人格障害と呼ばれており、この病名が誤解を生む大きな原因となったといえます。

その人の感情や行動などパーソナリティに関係している心の働きの障害、という観点からパーソナリティ障害という名称になった背景があります。

ですが、パーソナリティ障害に最も多い誤解は、「パーソナリティ障害=人格障害とは、その人の人格が悪い病気」という内容です。

そして、パーソナリティ障害は、人格の病気、人格の障害、つまりその人の人間性の病気なので、治療しても一生治らない、という誤解も生まれてしまっているのです。

その影響もあって、病院で「パーソナリティ障害」と診断名がつけられると、自分の人格が否定されたとか、うちの子は人間失格だ、もう治らない、と将来を悲観し、悲壮感に悩んでしまう人もまだまだ少なくありません。

パーソナリティとは変化する特性の意味

人格というと、その人が本来持っている固有の特性や気質を意味する言葉です。

内向的、社交的といった基本的な特性は、その人の一生を通して大きく変化することは少ない性質と考えられています。

しかし、パーソナリティ障害は、そのような変化しない特性とは違って、生活環境にうまく適応できないその人の持つ考え方や反応のパターンが、人生において一定期間続くことを意味します。

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パーソナリティという言葉が使われているのですが、パーソナリティとパーソナリティ障害は別々のものと考える方がよいでしょう。

パーソナリティ障害は一生続く治らない病気ではなく、治療することが可能なものなのです。

パーソナリティ障害の種類と分類(DSM-4)

日本国内では、アメリカ精神医学会による「精神疾患の診断と分類の手引き」であるDSMという診断基準が採用されています。

そのDSMによるとパーソナリティ障害は次のような種類と分類がおこなわれています。

風変わりで奇妙なパーソナリティ障害

・妄想性パーソナリティ障害
自己中心的で他人に対して不信感や疑いの念が強い。

・ジゾイドパーソナリティ障害
他人に対して関心が薄い、周囲から孤立しやすい。

・統合失調型パーソナリティ障害
現実的でない思考をする傾向が強く、人間関係がうまく築けない。

感情的なパーソナリティ障害

・境界性パーソナリティ障害
激しい感情、不安定な人間関係が特徴的。衝動的な行動や自傷行為などの破壊的な言動が目立つ。

・自己愛性パーソナリティ障害
周囲からの賞賛や評価、注目を強く欲する。他人に対して思いやりや共感が乏しい。男性に多い傾向あり。

・反社会性パーソナリティ障害
反社会的で暴力的な言動が特徴。衝動性が強く冷酷。

・演技性パーソナリティ障害
異性からの関心や注目を得るために、派手な外見や演技的な行動が多い。周りの人から認められたい想いが強い。女性に多い。

内向的で不安なパーソナリティ障害

・依存性パーソナリティ障害
誰かに依存することが多く、自分で決めることができない。

・強迫性パーソナリティ障害
完璧主義で融通がきかない。自分のルールに固執する。

・回避性パーソナリティ障害
失敗することを極度に怖がり、消極的な傾向が強い。

◆この記事は、日本の医学者、精神科医。帝京大学医学部教授の林直樹先生執筆・監修「よくわかる境界性パーソナリティ障害(主婦の友社)」の内容を元に、心理カウンセラーが記事編集をしています。

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