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境界例(ボーダーライン)の意味とは?患者数はどれくらいの割合なの?

パーソナリティ障害のうち、患者数が多いといわれる「境界性パーソナリティ障害/境界性人格障害」は、境界性という言葉から英語で「ボーダーライン」と呼ばれることもあります。

どんな理由や背景、どんな意味で「境界例=ボーダーライン」という言葉が使われるようになったのでしょうか?

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また境界性パーソナリティ障害/境界性人格障害の日本での患者数の割合はどれくらいなのでしょうか?

境界例=ボーダーラインの言葉の意味は?歴史的背景

境界性パーソナリティ障害はボーダーライン症候群とも呼ばれることがあります。

この「境界例=ボーダーライン」という言葉は、どんな歴史的背景から使われるようになったのでしょうか。

境界とは、2つのものの境目を意味する言葉です。

20世紀初頭、精神医学界において、統合失調症ととても似ている症状があらわれるものの、統合失調症の診断基準には当てはまらない人たちがいることが知られるようになりました。

その病気は、統合失調症と神経症(不安障害など)のどちらにも当てはまらない、ちょうど境界線上の精神疾患=精神病で、そのように診断された人たちが「境界例=ボーダーライン」と呼ばれるようになったのです。

境界例(ボーダーライン)と統合失調症、神経症の症状の違いは?

統合失調症と神経症(ノイローゼなど)、2つの病気の境界線上の境界例=ボーダーライン
は、それぞれどんな違いがあるのでしょうか。

【統合失調症(精神分裂病)】
統合失調症は以前は精神分裂病と呼ばれていました。妄想、幻覚、幻聴などの症状があり、思考や感情がまとまらない精神疾患(病気)です。

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【神経症(ノイローゼや不安障害)】
神経症は統合失調症(精神分裂病)よりも症状が軽い病気で、不安や抑うつ感、強迫観念などの症状がみられるものを神経症としていました。不安神経症、強迫神経症などとも呼ばれていました。

【境界例(ボーダーライン・ケース)】
境界例=ボーダーラインは、統合失調症(精神分裂病)と症状が似ていたり、神経症とも思えるような症状があり、どちらとも判断が難しい症状の総称としていました。現在では、境界例=ボーダーラインのうち、統合失調症の軽い症状が多い病気を統合失調型パーソナリティ障害、感情が不安定で衝動的な行動や自傷行為などの症状があるものを境界性人格障害としています。

境界性パーソナリティ障害の患者数はどれくらいの割合?

現在の日本国内において、境界性パーソナリティ障害/境界性人格障害の患者数割合についての大規模調査は実施されておらず、正確な発症割合や発症率はハッキリとはわかっていませんが、境界性パーソナリティ障害の患者数割合0.7〜2%程度といわれています。

何らかの病気で精神科を受診している人の中では、約10%が境界性パーソナリティ障害ではないかという調査報告もあり、境界性パーソナリティ障害は他の精神疾患を併発している人が多いことも特徴です。

日本で実施された1994年の調査では、18〜30歳の女性のうつ病患者のうち、55%が境界性パーソナリティ障害に該当していた、というデータもあります。

一般的には、地方の田舎よりも都会の方が境界性パーソナリティ障害の患者数が多く、高齢になるにつれて減少することがわかっています。

◆この記事は、日本の医学者、精神科医。帝京大学医学部教授の林直樹先生執筆・監修「よくわかる境界性パーソナリティ障害(主婦の友社)」の内容を元に、心理カウンセラーが記事編集をしています。

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